相続 千種区での相談事例 相続対策の生前贈与と遺言・遺留分
- 千種区・本山オフィスの相続相談
- 2022/3/20
- 2022/3/23
相続対策で千種区の自宅を生前贈与と遺言・遺留分対策を組み合わせ
千種区での相続対策(生前贈与、遺言と遺留分)のご相談・解決事例のご紹介です。
相談内容は、父の財産の相続対策(生前対策)についてのご相談です。
- 父の推定相続人は、相談者(長男)、相談者の弟(次男)、相談者の妹(長女) の計3人
- 弟(次男)は、以前にお金関係のトラブルを起こしており、10年以上、音信不通状態。
- 父の財産は、預貯金と千種区内の不動産(千種区の自宅と土地・瑞穂区にお持ちの駐車場など)。
- 相談者(長男)の千種区の自宅は、建物が自分名義で、土地が父親名義
という内容です。
お父様としても、相談者(長男)と妹(長女)に、財産を渡したい。
特に、相談者が住んでいる千種区のご自宅については、確実に渡せるようにしたい、というご相談でした。
相続対策・生前対策の選択肢は何があるか?
相続対策・生前対策を考える上では、まずは財産をどうやって分与したいか、どのように遺産分割をするかということから考えます。
そのうえで、相続税がかかる場合は、納税対策で保険の検討をしたり、相続税の節税を考えていきます。
今回のご相談では、財産を誰にどうやって渡すか、ということがメインのご相談ですので、相続対策の選択肢としては、
- 生前贈与での対策がいいか
- 遺言を使っての対策がいいか
- 認知症対策も考えて家族信託がいいか
- 遺留分の対策をどうするのか
ということを、それぞれ選択肢として、メリット・デメリットやリスクを考えて検討していく必要があります。
生前贈与か遺言か それぞれのメリット・デメリット
財産の権利移転のコストとしては、生前に贈与するよりも、遺言を作成して相続のタイミングで移転するほうが、一般的にはコストが低くなります。
ただ、今の時点で確定的に所有権を移転しておきたいということであったり、遺留分を考慮する必要があれば、生前贈与が有用な場合もあります。
生前贈与の遺留分の対象は相続開始前の10年間まで
遺留分については、相続法の改正により、法定相続人に対する贈与は、相続開始前の10年以内のものに限って、遺留分を算定するための基礎財産の価額に含めることになります。
つまり、相続開始より10年以上前に、相続人に対して行った贈与は、遺留分の算定から除外されることになるのです。
千種区の自宅の土地は確実に長男に渡したい
今回のご相談の中で、複数の財産をお持ちであるということがわかりましたが、
この中でも、特に、「相談者(長男)が住んでいる千種区の自宅の土地については、確実に相談者に渡るようにしたい」、というご事情がありました。
また、お父様がまだ若く、健康上のリスクも少ないため、遺留分のことを考えても、遺言より生前贈与が有効な可能性もあり、
相談者のご家族としても、今の時点で相談者に名義変更をしたいというご要望が強くありましたので、持戻し免除の条項を入れて贈与契約書を作成し、生前贈与を行うことになりました。
生前贈与の税金は贈与税・不動産取得税・登録免許税が必要
生前に贈与を行う場合の税金は、贈与税だけではありません。
- 贈与税
- 不動産取得税
- 登録免許税
の3点の税金を考える必要があります。
贈与税の計算と贈与の方法の検討
土地の贈与税の計算は、固定資産評価額ではなく、路線価で計算を行います。
今回のご相談の中では、千種区のご自宅の土地(底地)は、路線価で約2000万円の土地でした。
これを、そのまま一人に一括で贈与をすると、数百万円の贈与税がかかってきます。
生前贈与について相続時精算課税制度の検討
そこで、贈与税を軽減させるための方法として、複数人に対して複数年にわたって贈与をするという方法や、相続時精算課税制度という相続財産の前渡しの制度を使うという方法を検討することができます。
この点については、相続税との関係で、どのような方法を検討すればよいかが変わってきますので、相続税に強い税理士とも相談をしながら、適切な贈与の方法を考える必要があります。
今回は、税理士にて千種区の不動産のほか瑞穂区の駐車場の路線価を出して、相続税の試算をした上で、相続時精算課税制度の適用を行うことになり、贈与税はかからずに手続きを行う方法を取りました。
不動産取得税の計算と減税
不動産を贈与する場合、不動産取得税についても、考慮しておく必要があります。
不動産取得税は、不動産の固定資産評価額に対して3~4%程度かかる税金です。
居住用の建物を移転する場合には、一定の要件の下に、軽減を受けることができます。
居住用の建物と土地をセットで移転すると軽減適用になるケースがあるので、建物持分として少しだけでも一緒に移転すると、不動産取得税の軽減を受けられることもあります。
今回のご相談では、千種区のご自宅の建物は、すべて相談者(長男)の名義になっている状況でしたので、不動産取得税については、通常通りに支払いを行うことになります。
登録免許税の算出方法
不動産を贈与したり、登記の名義変更を行う場合には、登録免許税が必要となります。
贈与の場合の登録免許税は、固定資産評価額の2%(2/1000)です。
(正確には、端数の切り捨て処理を行って登録免許税額を算出します)
生前贈与にかかるそれ以外の費用・コスト
生前贈与の手続きを行う場合については、上記の税金をしっかり算出することがまず必要です。
それ以外の費用・コストとしては、
- 生前贈与の契約書作成、不動産の名義変更登記にかかる、行政書士・司法書士の費用
- 贈与税の検討、贈与税申告にかかる、税理士の費用
がかかってきます。
生前贈与を行う場合は贈与税だけでなく他の税金や費用を比較検討
生前贈与を行う場合は、贈与税だけに目が行きがちですが、これらのコストを見積もりして、総合的に比較検討することが大事です。
専門家の中には、「税金のことは答えられないから、税務署に聞いてくれ」「専門外のことは、他の士業に確認してくれ」というような回答をする方もいますが、
縦割りで、手続きだけ、税金だけ、という相談では、後々大きなトラブルに発展するリスクがあります。
生前対策の相談は、専門家である司法書士・行政書士・税理士と連携して手続きができる専門家に相談していただくのが良いでしょう。
今回のご相談でも、まさに税理士・司法書士・行政書士と連携を取って、千種区のご自宅の土地権利移転・名義変更をどのようにすればよいかという検討を行い、選択肢をご案内させていただきました。
また、千種区の自宅土地以外については、遺言書での相続対策と遺留分対策を併用することにしました。
遺言での相続対策と遺留分対策については、また次回ご紹介いたします。
名古屋相続相談所では生前贈与に強い税理士・司法書士・行政書士が対応
名古屋相続相談所では、相続対策・生前贈与に強い税理士・司法書士などの専門家が、相続対策全般のご相談に対応させていただいております。
千種区で相続や生前対策の相談なら本山オフィスへ、お気軽にご相談ください。
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土日・夜間も対応しておりますので、ご都合の良いお時間でご相談いただければと思います。
ご相談お待ちしております。
参考 生前贈与の遺留分算定の参考条文
今回ご紹介した生前贈与について、遺留分算定の財産価格に関する参考条文 民法1043条、1044条 をご紹介します。
(遺留分を算定するための財産の価額)
第千四十三条 遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。
2 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。第千四十四条 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。
2 第九百四条の規定は、前項に規定する贈与の価額について準用する。
3 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「一年」とあるのは「十年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。